新学習指導要領の実施に伴って、「テストはする必要があるの?」「成績はどうしたらいいの?」といった声をよく聞きます。これまでの外国語活動とは異なり、外国語科になると観点別評価をし、評定をつけなければなりません。おそらく通知表でも同じだと思います。では、外国語科の評価はどうしたらよいのでしょうか?
何回かにわけて、小学校英語の学習評価についてまとめていきたいと思います。
これまでのテーマ
今回のテーマは「評価の観点は3観点なのか?5領域なのか?」という点です。
【新学習指導要領ではどの教科も3観点での評価】
新学習指導要領では、どの教科も、目標を【知識及び技能】【思考力・判断力・表現力等】【「学びに向かう力,人間性等】の3つの柱で示しており、各教科の目標もそれに合わせて3つの柱で示されています。
また、目標に対応するように、観点別学習状況評価の観点は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つとなっています(上図※)。
※これについては学習評価の在り方ハンドブック(国立教育政策研究所)に詳しく書いてあります。
【外国語科における目標は3つの柱で明示】
もちろん、外国語科においても、教科の目標が3つの柱で示されています。
(1)外国語の音声や文字,語彙,表現,文構造,言語の働きなどについて, 日本語と外国語との違いに気付き,これらの知識を理解するとともに,読 むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと,話すこと,書くこ とによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身 に付けるようにする。
(2)コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,身近で簡単 な事柄について,聞いたり話したりするとともに,音声で十分に慣れ親し んだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識し ながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基 礎的な力を養う。
(3)外国語の背景にある文化に対する理解を深め,他者に配慮しながら,主 体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
(学習指導要領 外国語活動・外国語科より)
(1)が【知識及び技能】、(2)が【思考力・判断力・表現力等】、(3)が【「学びに向かう力,人間性等】に関連しています。
そして他教科と同様に、評価をする際の観点は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つとなっており、指導要録の観点別評価もこれと同様です。
【英語の目標は4技能5領域で示されている】
外国語科における評価の難しさは、その下位目標である英語の目標が4技能(5領域)で示されていることだと個人的には思います。
具体的には、上図のような目標が書かれています。そのため、目標を考える際には、外国語科の3観点の目標と、5領域の目標をかけ合わせる形で目標を考える必要があります。
【評価規準は3観点×5領域=15】
そうなると、評価規準を考える際にも、やはり3観点×5領域=15項目について考える必要があります。
これは、細かく分かれているので考えやすい反面、少し複雑になってしまっているようにも思われます。しかし、この15項目全てを1つの単元で評価していくのではなく、単元の言語材料や言語活動、子どもの既習知識などを考慮しながら、2年間を通じて軽重をつけながら指導と評価をしていくと考えた方がよいでしょう。
具体的には各単元において、「重点的にどの領域に力を入れるかを単元計画を考える段階ではっきりさせておく」や「一つの活動を評価する際に、知識・技能の側面をどこで見るのか、思考・判断・表現の側面をどこで見るのかといった観点ごとの視点をはっきりさせておく」といった工夫が必要になるでしょう。
【まとめ】
今回は主に、評価の観点についてまとめました。他教科と違い、英語は4技能5領域で目標が書かれているので、3観点で評価をしつつも、4技能をバランスよく指導していくという視点も併せてもっておく必要がありそうです。