外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
上記の新学習指導要領の外国語科の目標にある「言語活動」を通した単元デザイン手法についてまとめる第4回目。今回は第2回~第3回で説明した単元終末の言語活動をイメージした単元デザインのアレンジ方法を紹介。
これまでの投稿
第2回:小学校英語の授業づくり②【単元終末の言語活動をイメージする】
第3回:小学校英語の授業づくり③【テキストを用いた単元デザインの仕方】
すべての単元が同じようにデザインできるのか?
前回の記事では、Let's TryやWe Canにある最後のActivityを言語活動として捉えて、単元をデザインしていくという話をしました。
しかしながら、すべての単元が同じようにデザインすることが可能なのでしょうか?決して、そうではありません。子どもの実態などによって、もっと柔軟に考えることも必要です。
1つの単元に2つの言語活動を組み込むデザイン
例えば、Let's Try2のUnit7では、上記のように、2つのActivityが組み込まれていることがあります。このように、同じような言語活動を2つ用意して、2回繰り返すことによって技能の定着や活用を目指していくというデザインも可能でしょう。
1つのUNITを2つの単元として捉えるデザイン
次にWeCanのUnit4を見てみましょう。この単元では、「自分が何時にどのくらいの頻度で日課や家での役割をするかを紹介し合う」という言語活動がもともと設定されています。しかし、「時刻」「頻度」「日課」「家での役割」の4つの言語材料を組み合わせて表現するということは、5年生の児童にとってかなりハードルが高いようにも思えます。
実際に、自分が授業をやった際にも、「時刻がまだきちんと言えない」「日課の言い方に十分慣れ親しむことができていない」ということを感じたので、思い切ってデザインを大幅に変えました。
何をしたかというと、元々の8時間単元を「時刻と日課を紹介する(4時間)」と「家での役割をどのくらいしているか紹介する(4時間)」の2つに分けました。このように1つのUNITを2単元に分けるというデザインもありだと思います。
2UNITを1単元としてとらえるデザイン
最後にLet's Try1のUnit6とUnit7は、どうでしょうか。私の場合、Unit6のアルファベット学習で言語活動がなかなか思いつきませんでした。一方で、UNIT7の最後にグリーティングカードを贈り合うという言語活動はとてもよい言語活動だと思いました。そこで、Unit6とUnit7を合同単元として考えて、単元をデザインすることで、だいぶすっきりと授業をすすめることができました。
教科書通りに進めることが全てではない
ここまでいくつかのアレンジ方法を紹介してきましたが、私がここで特に言いたいことは、「教科書通りに進めることが全てではない。」ということです。文科省教材も、新しい教科書も、もちろん先生方が教えやすいように作られていますが、それをなぞっていくことが必ずしもよい授業というわけではありません。
単元目標と子供の実態、そして教師のワクワク感も考慮に入れたとき、本当に教科書通りに教えるのがよいのかどうかは考える余地があると思います。言語活動を変えたり、単元を分けたり、単元をくっつけたりと、いくらでもアレンジはしてもよいのです。そのぐらいの幅をもって単元をデザインしていくことも大事だと思います。
さて、これで、小学校英語の授業づくりシリーズはおしまいです。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。次からは、文字の読み書きについてまとめてみようかと思います。