来月から、2020年度、新学習指導要領がいよいよスタートとなります。それにともない、4月からは小学校英語専科(外国語専科)が1000人増となり、全国で3000人強の専科教員が配置されることになります。このシリーズでは、そんな専科の先生方に向けた記事を書いていきたいと思います。
前回の記事では、4月のスタート時にするべきことに(ToDo)ついて紹介しました。
3回目となる今回は、小学校英語にも関わるおすすめの書籍について書いていきます。
1.英語の授業づくりに関する書籍
①学習指導要領 解説 外国語活動・外国語編
2020年度から本実施となる学習指導要領の解説編。
小学校の授業は、この学習指導要領の目標や内容などをもとに行われることになっており、授業づくりの際の拠り所になるので、手元に置いておきたい。
文部科学省のHPからもpdf版のダウンロードが可能。
②小学校外国語活動・外国語活動研修ガイドブック
新学習指導要領をもとに、どのように授業を進めればよいのかをより具体的に、文科省がまとめたのがこの冊子になる。
中学年補助教材「Let's Try」や高学年移行期間教材「WeCan」の単元をもとに、具体的な単元計画や指導のポイントが記されている。
③基本が分かる外国語活動・外国語科の授業
新学習指導要領で狙いたいことがよくわかる一冊。
①②の2冊をさらに具現化した内容となっており、イラストや写真を多用しているため、授業の流れをイメージしやすい。3~6年の各学年の単元計画と授業案が一本ずつ掲載されています。
これから外国語活動を始める方におすすめです。
④小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ
大学のテキストとしても使われる書籍なので、読むのは少し難解かもしれませんが、理論的な背景知識も幅広く勉強したいという方にはおすすめの一冊です。
「文字の読み書き」「絵本の活用」「異文化理解」などの項もあり、英語教育法の中で、特に小学校英語に関わりの深い部分をまとめてあります。
⑤「学ぶ・教える・考える」ための実践的英語科教育法
大学のテキストとして書かれた書籍ですが、非常に読み進めやすいつくりになっていて、小学校の先生方にもおすすめできます。
「第二言語習得」「動機付け」「学習指導要領の変遷」など広く学べる一冊です。
小学校だけでなく、中学高校の英語教育についても網羅されている。新学習指導要領や最新の知見がうまく取り入れられており、より詳しく知りたい方におすすめです。
⑥「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料
2020年3月に国立教育政策研究所から出された学習評価に関する資料です。
具体的な事例を用いて、どのように外国語科での評価をしていけばよいのかがまとめられています。指導要領と合わせて必ず目を通しておきたい。
まだ販売はされていませんが、下記サイトよりダウンロード可です。
指導資料・事例集:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research
2.Small Talkや話すこと[やりとり]に関する書籍
①英語教師のためのTeacher’s Talk & Small Talk入門(瀧沢広人)
新学習指導要領において話すことの技能が[発表]と[やりとり]の2領域に分かれました。Small Talkはこのやりとりするための力をつけていくための活動です。
どう進めるのか、どんなトピックがあるかを丁寧に書いてある本です。40個ものトピックが載っているので、授業でも取り入れられる話題があると思います。
②自分の本当の気持ちを「考えながら話す」小学校英語授業(山田誠志)
元岐阜県教委の指導主事で、現在は文部科学省教科調査官を務める山田誠志さんの著書。岐阜県の中心校では、Small Talkの実践を通じて、「考えながら話す」力を伸ばそうとしています。その理論からノウハウまでがつまった1冊です。
3.文字指導・音指導に関する書籍
①これからの英語の文字指導(手島 良)
再来年度からアルファベット指導が中学で行われなくなると考えると、小学校で外国語を指導する先生にとっては今必要な知識の一つではないでしょうか。
中学教師向きですが、かなり丁寧に指導法が詳述されているだけでなく、100p近いハンドアウトの無料ダウンロードも嬉しいです。
②小学校英語の文字指導 ~リタラシー指導の理論~(アレン玉井 光江)
小学校英語に限定した文字指導の指導と実践がまとめられている。特に文字と音を結びつけるための指導について書かれている。理論については著者の論文からの引用も多く、難しい箇所もある。しかし、具体的な活動やワークシート例なども紹介されているので、イメージしやすい。
③ドリル式 フォニックス<発音>練習Book(ジュミック今井)
小学校英語においてはアルファベットフォニックス(アルファベットの音)については指導をしていくべき内容となっています。(指導要領ではフォニックスという言葉は使っていませんが…)そのためにフォニックスに関する書籍も手元に一冊あるとよいでしょう。
この本は具体的な発音の仕方がイラストと言葉で書かれているので、子どもたちに指導する際にも使えます。
4.番外編
①小学校英語のジレンマ(寺沢拓敬)
小学校英語がどのように教科化の道を辿ってきたかが詳述した一冊。
教育再生会議のような官邸主導で教育政策が決定されることにより、学習環境を整えることなく話が進んでしまい、今まさにそのツケを払っているのだなというのを感じました。
②子どもの未来が変わる英語の教科書(正頭英和)
「AI時代の英語教育はどうあるべきか。」そんなことを考えさせられる一冊です。
読みながら思ったことは、英語を通して資質・能力(本でいうと問題発見力、行動力など…)を育てることだなぁということ。