E-Lab. 〜小学校英語専科教員のブログ〜

E-Lab. 〜元小学校英語専科教員のブログ〜

2019年度から3年間小学校英語専科教員だった先生のブログ。小学校英語やICT教育の実践記事が中心です。

小学校英語専科になる皆さんへ2021 ① ~所属感を手に入れる~ 

 2020年度から小学校で新学習指導要領がスタートし、教科化されました。それにともない、2020年度から全国で3000人の専科教員が配置されることになり、2021年度も同様の予算が組まれています。国の加配以外(校内人事や自治体で予算)で英語専科教員をつけるケースも加えると、もっと多くなるかと思います。

  僕自身は2019年度から英語専科教員として働いています。2018年度末に英語専科加配の内示をもらったときには、「どんな風にやればいいんだろう…」「僕で大丈夫かな…」と不安でいっぱいでした。

 そして、英語専科になって1年目の1学期の間は、精神的にも肉体的にもかなりいっぱいいっぱいの日々を過ごしました。実際、何度か体調を崩したり、ストレスチェックの結果はかなり悪かったりしました。

 そこで、この記事では、2年間英語専科をやってきた僕から、新しく小学校英語専科になるみなさんに伝えたいことを書きたいと思います。

 

 今回は『所属感』がテーマです。

 

 あくまで自分の経験をベースに書いているので、それぞれの自治体や状況によって差があるかもしれません。僕自身は現在3校兼務しており、この複数校兼務かどうかという点は大きな違いになるかもしれません。

 

 

所属感を手に入れることの大切さ

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 英語専科をやる先生方にとって、大きな障壁になりうるのが「所属感の欠如」だと思います。

 

 上の図のマズローの5段階欲求でいうと「承認と愛の欲求」が満たされていないということです。そうすると、それより高次な自己承認欲求(自分で自分を認めてあげる)を満たす気にはなれないし、よりよい授業づくりをしようというような自己実現の欲求を満たそうとはならないでしょう。ですので、この「所属感」を得るということは仕事をする上で非常に大事なことなのです。

 

 僕の場合は、3年勤務した前任校を異動して、新しい学校で英語専科になりました。それもあって、なかなか所属感というのを得ることができませんでした。

 

 普通の異動であれば、4月当初であっても仕事の中で色々な職員と仕事をする機会が多くあります。例えば、学級担任であれば一緒に組む学年の先生たちと仕事をする中で、自然とお互いのことを知っていったりすることでしょう。

 

 しかし、専科はたったの一人。しかも僕の場合は、2校兼務で本務校には週に3日しかいません。その中で職員の中で信頼関係を築いていくのには相当時間がかかりました。

 

 また、前年度までは学年主任や研修主任や体育主任など学校運営に大きく携わる分掌を任される中で、自分自身のアイデンティティを確立してきたのですが、この年の分掌は外国語担当のみ。このギャップも、「自分は周りから楽な立場だと思われてるかも」「自分はこの学校に必要ないのかも」と自信を無くさせる要因になっていたと思います。

 

 もう一つは、自分の学級がないという点も所属感を失わせる原因の一つだったと思います。前年度は学級担任として自分のクラスというものがありました。思い返せば、そこでの子どもたちとの関係であったり、居心地のよさであったり、そういったものを一気に失ったことも大きな喪失感として感じる要因となっていたように思います。

 

 こうした理由から、(異動をして兼務をしながら)英語専科をやることは、所属感を失いやすく、また所属感を得るまでには相当の時間がかかる可能性があると考えられます。

どのように対処するか?

①本務校で分掌以外に手伝えることをもつ

 兼務をしていなくて、既に多くの分掌をもっている先生は、その仕事をするだけでも周りの先生方から感謝されると思います。

 

 しかし、僕のようにほとんど分掌がないという状況の場合は、理のない範囲で仕事を引き受けるといいかなと思います。あくまで、無理のない範囲でというのがポイントで、その仕事を引き受けたら残業が増えて教材研究ができなくなったというのでは本末転倒です。

 

 例えば、僕の場合は…

・4月当初の学級事務

・週に一度のHPの更新

・授業参観の前に昇降口の写真掲示の入れ替えをする(年3回)

・行事などの写真撮影

・掃除時間の職員室の掃除

 といったことを引き受けました。また、PC周りのことは多少知識があるので、PCのトラブル相談なども快く引き受けたりしました。

 

 できるだけ、自分の得意なことで、継続して無理なくできる仕事を受けておくとよいかなと思います。

②兼務校では所属感を無理して求めない

 これはもう割り切った考えなのですが、本務校と兼務校、どちらの学校でも所属感を求めていくと、かなり疲れます。しかも、滞在時間の短い兼務校でも所属感をつくっていくことはなかなか難しいなと思います。

 

 そんな場合は、兼務校に所属意識をそこまで求めないという逆転の発想をしてしまうのも一手です。そこに労力を使いすぎることは精神的にもよくないです。僕自身、1学期は本務校でも兼務校でも、同じくらい仕事を手伝ったりしていたのですが、体調を一度崩したことがありました。それからは、所属校では授業を中心とした仕事のみをやろうと決めました。それによって、だいぶ気持ちが楽になったということがありました。

 

 これには賛否があるかもしれませんが、専科に関わらずどんな立場であっても、仕事のウェイトの割り振りをすることは大事です。自分のキャパシティ(時間、体力、精神力)を鑑みて、どの仕事に重きをおいて一年仕事をしていくか割り振っておくことは必要なことだと思います。何はともあれ、体が資本なのです。倒れてしまったら元も子もありません。

誰もが安心感をもって働ける職場づくりを

 ここまで、英語専科としてできることを書いてみましたが、実際には英語専科だけの努力で所属感を得るというのはなかなか難しいというのが正直な所です。

 僕自身は、管理職の先生から「専科はなかなか所属感を得られないことがあると聞くけど、大丈夫か?」と気にかけてもらっていました。こうした声を管理職から声をかけてもらえることはとても大きな安心感がありました。

 英語専科も、学級担任も、支援員も、学校で働くどの職員も単なるコマではなく、学校を支えている大事なヒトなんだとみんなが想いあえる、そういった職場であることが一番大事なんだろうなと感じます。

まとめにかえて

 今回は、特に兼務の専科教員における「所属感の消失」という問題と、それに対する僕なりの対応策をまとめてみました。この記事を書きながら、専科になる前の自分はどうだったのだろうとも考えました。講師の先生であったり、級外の先生にきちんと感謝を伝えていたか?、仲間意識を持って仕事をしていたか?・・・もしかすると十分じゃなかったかもしれないなと思います。

 2つの対応策を書きましたが、一番は周りの先生方からの言葉です。

「今日の英語の授業、子どもたち楽しそうでしたね。」

「いつもありがとうございます。」

 僕なんかは単純なので、こんな一言で1週間がんばろうという気持ちになります。

4月当初は管理職も、担任も、級外も、専科も忙しいのは重々承知ですが、お互いに温かい言葉が出てくるそんな職場であるといいなと思います。