E-Lab. 〜小学校英語専科教員のブログ〜

E-Lab. 〜元小学校英語専科教員のブログ〜

2019年度から3年間小学校英語専科教員だった先生のブログ。小学校英語やICT教育の実践記事が中心です。

NEW HORIZON Elementaryでの授業づくり② ~目標・学習活動・言語活動を見比べる~

 2回目の今回は、NEW HORIZON Elementaryの各単元における①Our Goalと②Your Turn(表現に慣れる活動)と③Enjoy Communication(単元終末の言語活動)を見ていきたいと思います。

 ちなみに1回目はこちら…

nin.hatenadiary.jp

  この①~③の3つを見ることで、NEW HORIZON Elementaryの特徴を掴むことができます。また、単元を構成する際に気をつけなければならないポイントも見えてきます。

 

 

5年生の各単元の3つの関連性を見てみると…

f:id:ninnin2222:20200311212244j:plain

 上記が5年生の①Our Goalと②Your Turnと③Enjoy Communicationをまとめた表です。Unit1~4、Unit6については、①→②→③と流れが明瞭であり、繋がっています。

 一方でUnit5、7、8については、②Your Turnに③Enjoy Communicationでは直接使う必要のない(または少ない)表現に慣れる活動が設定されています。

 

 例えばUnit8を見てみましょう。

 Unit8では①Our Goalとして「あこがれの人について発表しよう」という目標が設定されています。そして、③Enjoy Communicationでは「ヒーローを紹介しよう」という言語活動が用意されていて、①と③がしっかりとつながっています。

 一方で②Your Turnには「日常生活やあこがれの人についてたずね合おう」という活動が設定されています。じっくり見てみると、実はこの中の「日常生活」というのは必ずしもヒーロー紹介には必要のない言語材料であることがわかります。

 Unit6やUint7も同じように、単元末の言語活動に使う必要のない言語材料がYour Turnに入っています。

 

6年生の各単元の3つの関連性を見てみると…

f:id:ninnin2222:20200311222911j:plain

 上記が6年生の①Our Goalと②Your Turnと③Enjoy Communicationをまとめた表です。Unit1・3・6・7については、①→②→③と流れが明瞭であり、繋がっています。

 一方でUnit2・4・5・8については、①Our Goalと③Enjoy Communicationとの繋がりが明確でないものが多いです。

 

 例えばUnit2を見てみます。

 Unit2では①Our Goalとして「日常生活について伝え合おう」という目標が設定されており、③Enjoy Communicationでは「宝物を伝え合おう」という言語活動が用意されていて、①と③のつながりが不明です。実際の教科書では以下のような例文が用意されています。

① I live in Ueda inJapan.(住んでいるところ)

② I go to Naka Elementary School.(通っている学校)

③ I usually watch soccer games on Sundays.(よくすること)

My treasure is this soccer ball.(宝物)

 ④が宝物を紹介する文ですが、残念ながら①や②とのつながりはほとんどありません。

 Unit4・5・8も同じように、Our Goalと単元末の言語活動がしっかりと一致していない印象を受けます。

 

このようなズレにどう対応するか

対応策1:単元を2つに分ける

5年のUnit8のような扱う言語材料が多すぎて、1つの単元末の言語活動では扱いきれない場合は、いっそのこと2つにわけるというのも手だと思います。

 

Unit8でしたら、「ぼく・私の一日をみんなに紹介しよう(3時間)」「ぼく・私のヒーローをみんなに紹介しよう(5時間)」というような感じです。

 

こうすることで目標(①)と言語材料(②)と言語活動(③)が一致した単元×2にすることができます。

 

対応策2:単元末の言語活動をもう一工夫する

 6年生の単元はCLIL(Content and Language Integrated Learning:内容言語統合型学習)を意識した単元も多いため、どうしても目標(①)と言語活動(③)が一致しにくい傾向が見て取れます。これは、扱うテーマが大きい割に、使える表現などが少ないため、最終的に表現する内容が薄くなってしまうためだと考えられます。

 こうしたことを防ぐためには、最終的な言語活動をよりテーマに近いものにしてあげることも効果的だと思います。例えばUnit5の場合、「地球に暮らす生き物について考える」ということを意識させるには、単に「食物連鎖について発表する」だけでなく、「地球上の絶滅危惧種にはどのような生き物がいるかを紹介しよう」というように単元末の言語活動もより深く問題について考えられるものにする必要があるかもしれません。

 

 以上、今回は目標・学習活動・言語活動のズレがある単元もあることを知り、それを踏まえた単元構想をしていく方法について述べてきました。単純に教科書通りに前から進めると進めにくくなってしまう単元も、最初からこういったズレがあるということを知って単元を再構成しておくことでスムーズに授業をすることができると思います。